3次元CADの操作に慣れてきた方や、実務で使えるレベルになりたい方には、3次元CAD利用技術者試験の取得をおすすめしています。
筆者は機械設計の仕事をして10年以上経過していますが、この試験を受験して、いくつか学びがありました。
そこで、合格を目指す方のために、この試験の2級、準1級、1級にすべて合格した筆者が下記についてまとめました。
- 試験の概要
- 取得するメリット
- 日程
- 勉強方法
- 試験対策と体験談
合格者ならではの試験勉強の要点をまとめた内容となっていますので、是非ともこの記事を読んであなたの勉強に役立ててください。
3次元CAD利用技術者試験 とは
機械設計や機械製図を行う場合、一般的に設計支援ソフトのCAD(キャド)を使用します。
このCADを使用すると、主に3次元モデルと図面を作ることができます。
3次元CAD利用技術者試験の勉強をすると、このうちの3次元モデルの作成の基礎を学べます。
認定団体は一般社団法人コンピュータ教育振興協会となり、資格の種類は民間資格です。
等級は、2級、準1級、1級の3種類があり、準1級や1級を取得するためには、2級の合格が必要です。
2023年度 3次元CAD利用技術者試験 2級 試験概要
試験の概要は公式ホームページで確認できます。
2級の受験対象者
- 3次元CADシステムを利用した機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事することを目指す方
- 3次元CADシステムの周辺業務に従事している方
- 準1級、1級へのステップアップとしてだけではなく、関連製品の管理、営業等を担当されている方
つまり未経験者や初心者を想定しています。
2級の受験資格
- 誰でも受験できます。
2級の資格名/称号
- 3次元CAD利用技術者試験2級
履歴書に記載する名称です。
2級の受験料
- 7,700円(税込)
2級の試験時間
- 60分
2級の試験方法
- 筆記試験(60問)CBTによる多肢選択方式
CBTとはコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答する方式です。
2021年度から2級はマークシート方式からCBT方式となったため、1級と2級または準1級と2級の併願受験はできなくなりました。
2級の試験分野
- 3次元CADの概念
3次元CADとは、3次元CADの活用、3次元CADの歴史、3次元モデルのデータ構造、3次元モデルの構成、表示技術 - 3次元CADの機能と実用的モデリング手法
3次元CADによる設計、モデリング機能、実用化の事例、複合化したコマンド、検査・計測・解析の方法、モデリング手法、アセンブリモデリング、実用上の注意点 - 3次元CADデータの管理と周辺知識
プロジェクト管理、PDM、コンピュータシステムの構成、CADとネットワーク知識、情報セキュリティ - 3次元CADデータの活用
CAE、CAM、CAT、CG、3Dプリンター、DMU、コラボレーション、3次元CADデータの応用例
合格基準
- 各分野5割以上、および総合7割以上の正解を合格基準
2級の合格率
平成29年度からの合格率を平均すると57%なので、難度は高くありません。
勉強時間を確保すれば合格できます。
2023年度 3次元CAD利用技術者試験 2級 年間スケジュール
試験の年間スケジュールは公式ホームページで確認できます。
2級の試験日
- 随時実施(申込時に任意選択)。2023年4月7日(金)~2024年3月31日(日)まで
2級の申込期間
- 2023年4月5日(水)~2024年2月29日(木)
2級の申込方法
ネット申し込みになります。公式ホームページの申し込み方法に沿って手続きしましょう。
2級の合格発表
- 試験終了後、即時発表
3次元CAD利用技術者試験 2級 を取得するメリット
受験資格を得ることができる
3次元CAD利用技術者試験は準1級および1級のCAD操作を行う試験がメインになります。
そのために2級取得は避けて通ることができません。
CADの概念を習得できる
知識のないところからモデリングするよりも、モデルの構造などを勉強してからの方が理解が早くなります。
ものづくりに関わる用語を習得できる
ほとんど暗記になりますが、ものづくりの仕事をするのであれば、知っておいて損はない用語を勉強できます。
ライバルに差を付けれる
仕事先に対して向上心があることを、アピールできます。
特に新卒で入社した仕事先で、資格の無い同僚よりも先にCAD業務を任せてもらえる可能性が高くなります。
3次元CAD利用技術者試験 2級 の勉強方法
公式ガイドブックが絶対必要
試験問題は試験実施年度版の公式ガイドブックに準拠して出題されるので、合格するために公式ガイドブックは絶対必要です。
公式ガイドブックを読む
過去問から取り組んだ場合、未経験者には見当もつかない問題ばかりで、やる気を失う可能性があります。
はじめから熟読する必要はないので、まずは公式ガイドブックを一通り読んで慣れてください。
過去問を繰り返し解く
公式ガイドブックを一通り読んだら、書籍内に昨年度の前期と後期の過去問があるので繰り返し解きます。
ここでは間違えた問題や、偶然正解した問題など、解答に自信が持てない問題について放置せず、公式ガイドブックで確認することが大切です。
過去問を4回分やれば自信が持てるようになるので、今年度版と昨年度版の公式ガイドブックが欲しいところです。
昨年度版の公式ガイドブックは、受験経験のある先輩や同僚がいれば貸してもらったり、いなければAmazonや楽天市場で入手できます。
勉強時間は人に寄りますが、経験者なら2級はおよそ30時間。未経験者はその倍以上の時間が必要になると思います。
独学で合格できる
公式ガイドブックを読んで過去問を繰り返し解けば独学で合格できます。
内容がどうしても難しく感じてしまう場合は、CADオペレータの方や、受験を目指す仲間に相談してみましょう。
3次元CAD利用技術者試験 2級 の試験対策と体験談
直近の過去問から優先的に勉強する
試験問題は過去問から全く同じ問題が数問出題されますが、技術の進歩に伴い問題も追従していくため、直近の過去問ほど出題数が多くなる傾向にあります。
そのため、試験まで十分な勉強時間を確保できない場合は、直近の過去問から優先的に勉強しましょう。
思考問題は要点を押さえる
暗記問題では英字3文字の略称と説明文を羅列して、まとめて覚えるなど工夫できますが、思考問題では理解するための要点を押さえることが重要です。
筆者は全60問の問題と解答の要点をA4の紙1枚にまとめて、隙間時間に読み返していました。
満点を目指す
筆者が受験した時の目標設定は、満点ではなく合格点としたのですが、満点を目指した方が良かったです。
これは試験問題中盤からの「○○に関する文として正しいものはいくつあるか」の問いに対して、3つ以上の正誤を把握していないと正解を確実にできず苦戦したからです。
解答時間を測定する
60分間で全60問を解くことになるので、1問1分ペースです。試験と同じく時間を測定して過去問を解きましょう。
3次元CAD利用技術者試験 2級 を終えて
筆者が受験を思い立ったのは、会社の資格手当の対象に、3次元CAD利用技術者試験の準1級と1級が該当していたからです。
しかし、申し込みの締め切り間際だったので、最寄りの試験地は定員数に達していました。
仕方なく他の試験地を探して決めたのですが、なんと居住地の名古屋から大阪の試験会場へ新幹線で行くことになりました。。。
(2021年度から2級はマークシート方式からCBT方式となったため、自分の都合に合わせて受験できるようになりました)
試験は午前中までのため、午後から写真の場所へ行ってきました。このアングルが好きです!
筆者が受験した平成29年度後期試験の成績発表です。
ギリギリですが、合格基準が各分野5割以上、総合7割以上なので合格です!
- 総合 73.0%
- 3次元CADの概念 84.0%
- 3次元CADの機能と実用的モデリング手法 76.0%
- 3次元CADデータの管理と周辺知識 56.0%
- 3次元CADデータの活用 76.0%
まとめ|3次元CAD利用技術者試験 2級|合格者の試験対策と体験談
3次元CADの操作を身に付けたい未経験者や初心者には受験をおすすめします。
公式ガイドブックを読んでから、今年度版と昨年度版の過去問を繰り返し解けば独学でも合格できます。
特に、下記は大事です。
- 直近の過去問から優先的に勉強する
- 思考問題は要点を押さえる
- 満点を目指す
- 解答時間を測定する
2級を合格された方は準1級と1級もチャレンジしてみましょう。
なお、CADを既に扱える方においては、資格手当が付く以外で改めて受験する必要はありません。その先を目指しましょう。