FreeCADってどんな3DCAD?市販のCADソフトとの違いや、メリット・デメリットを知りたいと思ったことはありませんか?
自分に合った3DCADを選ぶのは初心者にとって難しく、どれを使えば良いか迷いがちです。
私は機械設計のエンジニアとして、業務で5種類以上の3DCADを使用してきた経験から、個人のものづくりにFreeCADを活用したくて、使用頻度の高い機能の学習を続けています。
この記事では、FreeCADの特徴やメリット・デメリット、さらに初心者でも迷わず始められる手順を図解でわかりやすく解説します。
手順に沿って進めれば、FreeCADの学習をスムーズにスタートできます。
FreeCADの始め方を知りたい方は、是非この記事を読んであなたの「ものづくり」に役立ててください。
この記事で分かること
- FreeCADの特徴やできること、メリット・デメリット
- どんな人に向いているか
- 動作環境やダウンロード、インストール方法
- 起動しない場合の対処法や初期設定の手順
- ワークベンチやマウス操作などの基本操作
- 3Dモデル作成の流れと次の学習ステップ
FreeCADとは
オープンソースのFreeCADは、2002年から世界中の有志のプログラマによって継続的に改良されている開発中の3DCADソフトです。
プログラミングができれば、誰でもソフトウェアの改良や再配布が可能です。
主に機械設計向けの3次元CADですが、建築など工学全般でも利用されています。
FreeCADは作成履歴を基に形状を変更できる「フィーチャーベースモデリング」を採用しています。
この手法により、既存モデルの改良や設計変更を容易に行うことができ、こうしたパラメータを利用したモデリング手法を「パラメトリックモデリング(数値や寸法を変更すると形状が自動で更新される手法)」と呼びます。
FreeCADに類似した市販の3DCADには、SolidWorks、Solid Edgeなどがあります。
FreeCADでできること
FreeCADでできることを踏まえて、メリット・デメリットや、どんな人に向いているかを見ていきましょう。
- 2Dスケッチから3Dモデルの作成
- 既存モデルのパラメータ変更による流用・改良
- アセンブリ設計や部品の組み合わせの検討
- 機械設計や建築の基礎モデルの作成
- 多くのCADファイル形式(STEP、IGES、STLなど)の読み書き
- スクリプトやマクロによる自動化・カスタマイズ
メリット
ここまでに紹介したFreeCADの機能や、オープンソース3DCADとしての特性を踏まえると、次のようなメリットがあります。
- 無償で利用でき、ユーザー登録やライセンスキーの入力も不要
- 商用利用が可能
- 多くの機能が日本語化に対応している
- 豊富なデータ形式に対応している
- 市販の3DCADより低スペックのパソコンでも動作する
- インストール型ソフトウェアのため、クラウド型と比べて機密性が高い
- 初心者から上級者まで幅広く使用できる
デメリット
一方で、高機能な3DCADであることやオープンソースであるがゆえに、注意すべき点やデメリットもあります。
- オープンソースのため、不具合が起きた場合は自分で情報を探して解決する必要がある
- アップデート情報は自分で確認する必要がある
- 3DCAD未経験者は操作に慣れるまで時間がかかる
- ダイレクトモデリングに対応していない
- 市販の3DCADと比べて、モデリングや図面で作れないものがある
どんな人に向いているか
これまで紹介したFreeCADの特徴やメリット・デメリットを踏まえると、FreeCADは次のような人に向いています。
- 無償で商用利用が可能な高機能3DCADを使いたい人
- 個人開発や小規模プロジェクトでコストを抑えたい人
- CADデータを流用・改良しながらモデリングを行いたい人
他のフリーソフトは商用利用が不可だったり、CADデータの変換に有料ライセンスが必要だったりする場合があります。
FreeCADは制限が少なく、自由に使える点が大きな特徴です。
FreeCADの動作環境
FreeCADの推奨動作環境は、公式ページには明記されていません。
そこで、市販の3DCADソフトと比べて低いスペックでも動作する点と、実際に動作確認を行ったパソコンのスペックをもとに、推奨動作環境および最低動作環境を記載します。
なお、使用用途によって必要なスペックは異なるので、すでにパソコンをお持ちの場合は、FreeCADをインストールして動作確認してみることをおすすめします。
最低動作環境
最低動作環境の目安として、下記の構成でFreeCADの起動と、当サイトの解説内容が問題なく動作することを確認済みです。
- CPU
64bit 4コアの「Core i5 4460」 - メモリ
「DDR3 8GB」 - グラフィックボード
VRAM 2GBの「NVIDIA GeForce GTX 750 Ti」
推奨動作環境
FreeCADを大規模なモデルや業務用途で快適に使用する場合の目安です。
- CPU
64bitの8コア以上 - メモリ
32GB以上 - グラフィックボード(用途別)
趣味用途:8GB以上のOpenGLに対応したGeForce RTXシリーズ
業務用途:12GB以上のOpenGLに最適化されたNVIDIA RTX Aシリーズ
(FreeCADはOpenGLを使って3D表示を行うため、対応したGPUが必要)
FreeCADのダウンロード
FreeCADのダウンロードは公式サイトを開いて「今すぐダウンロード」をクリックします。

最新版は、64bit版のWindowsとMac、Linuxに対応しています。
ご自身の使用環境に対応するOSをクリックすると、ダウンロードが始まります。
Windows版では、下記の2種類のファイルが表示されます。
- x86_64 installer
→ 通常はこちらを選択します。パソコンにインストールして使う一般的な形式 - x86_64 portable(.7z)
→ USBメモリなどに入れて、互換性のあるパソコンで使う場合に利用
なお、FreeCAD公式サイトでは、Windows 8 / 10 / 11 に対応していると記載されていますが、MicrosoftによるWindowsの公式サポートは現在 Windows 11 のみとなっているため、Windows 11 での使用をおすすめします。
ファイルサイズは約400MBあるため、ダウンロードが完了するまで待ちます。

補足:FreeCADのリリース履歴
この情報は、FreeCADの更新頻度と履歴に興味がある方のみ参照してください。
下記のように、大規模な変更を示すメジャーバージョン(例:1.0)や、中規模な変更を示すマイナーバージョン(例:0.11~0.21)は、ほぼ年1回のペースで更新されています。
| バージョン | リリース年月 |
| 1.0 | 2024年 11月 |
| 0.21 | 2023年 8月 |
| 0.20 | 2022年 6月 |
| 0.19 | 2021年 3月 |
| 0.18 | 2019年 3月 |
| 0.17 | 2018年 4月 |
| 0.16 | 2016年 4月 |
| 0.15 | 2015年 3月 |
| 0.14 | 2014年 3月 |
| 0.13 | 2013年 1月 |
| 0.12 | 2011年 12月 |
| 0.11 | 2011年 3月 |
このほかに、バグの修正に焦点を当てた小規模な変更を示すパッチバージョン(例:1.0.1や1.0.2)も年に数回行われています。
通常は、公式サイトからダウンロードできる最新版を使用すれば問題ありません。
FreeCADのインストール
Windowsでは、通常はインストーラー版を使用します。
ここでは、インストーラー版とポータブル版のインストール方法を解説します。
インストーラー版
インストーラー版では、基本的にすべて初期設定のまま「次へ」をクリックしていけば問題ありません。
FreeCADはメジャーやマイナーのバージョンが異なれば、互いに干渉することなく最新版をインストールできます。
ただし、不具合の報告もあるため、旧バージョンがインストールされている場合は、事前にアンインストールしておくことをおすすめします。
ダウンロードしたインストーラーを起動します。
- 「FreeCAD 1.0.0 セットアップへようこそ」→「次へ」
- 「使用許諾契約」→「次へ」
- 「ユーザーの選択」→「次へ」
- 「インストール先の選択」→「次へ」

- 「構成要素の選択」→「次へ」
- 「スタートメニューのフォルダの選択」→「インストール」
- 「インストール」→画面が切り替わるまで待つ
- 「FreeCAD 1.0.0 セットアップの完了」→「完了」

ポータブル版
ポータブル版はパソコンにインストールする必要がなく、USBメモリなどに入れておくことで、互換性のある他のパソコンからでもFreeCADを起動できます。
ポータブル版では、デスクトップにショートカットは作成されません。
ダウンロードしたファイルを解凍します。
解凍したフォルダ内のbinフォルダにある「freecad.exe」が実行ファイルです。
FreeCADが起動しない場合の対処法
FreeCADを無事にインストールできても、環境によっては起動しないことがあります。
ここでは、よくある原因とその対処法を解説します。
MSVCP140_1.dll がない
【症状】
起動時に「コンピュータにMSVCP140_1.dll がないため、プログラムを開始できません。…」というエラーが表示され、起動できない。
【原因】
Windowsに必要なランタイムが不足している場合に発生します。
【対策】
Microsoft公式サイトから「Microsoft Visual C++ 再頒布可能パッケージ」を、お使いの環境に合わせて(64bitの場合はx64)ダウンロードしてインストールしてください。

FreeCADが強制終了する
【症状】
起動時、または新規ドキュメントを作成した直後に、FreeCADが強制終了する。
【原因】
グラフィック機能(OpenGL)が正しく動作していない場合に発生します。
【対策】
パソコンのGPUが OpenGL に対応しているか確認してください。
- OpenGL に対応している場合
グラフィックドライバが未インストール、または古い可能性があります。
最新のドライバをインストールしてください。 - OpenGL に対応していない場合
FreeCADで3D表示を行うにはOpenGL対応のグラフィックボードが必要です。
未対応の場合は、対応したグラフィックボードの使用を検討してください。
OpenGLが正しく動作するかは、Blenderなどの3Dアプリを起動して、3D画面が表示されるかで確認できます。
FreeCADの初回起動画面
FreeCADを起動します。
初回起動時には、下図のように「FreeCADへようこそ」という画面が表示されます。
この画面は初回のみ表示され、設定内容は後から変更できます。
以下を設定して「終了」をクリックします。
- 言語 → 日本語
- 使用する単位 → 標準(mm,kg,s,°)
- ナビゲーションスタイル → 後で変更するため、ここでは「CAD」のままでOK
- テーマ → 「FreeCADライト」または「FreeCADダーク」

次にスタートページを閉じます。
スタートページは使用しないため、画面右下の「今後このスタートページを表示しない(空白の画面で開始)」にチェックを入れてから、スタートページのタブを閉じます。
FreeCADではファイルがタブ形式で表示されます。
必要に応じて、タブの切り替えや閉じる操作を行ってください。

FreeCADの初期設定
続いて初期設定を行います。
ここでは、3Dモデリングを体験するために必要な、最低限の設定のみを行います。
マウス操作の設定
マウス操作は、用意されているナビゲーションスタイルから選択できます。
変更するには、画面右下のステータスバーに表示されている「CAD」をクリックし、好みの操作方法を選択します。
※ ナビゲーションスタイルは、この手順で何度でも変更できます。

補足:設定の開き方
設定の変更は、メニューバーの「編集」→「設定」から開けます。

ワークベンチの追加や、その他の設定については、こちらで詳しく解説しています。
3Dモデルを作ってみよう
初期設定が完了したら、FreeCADの動作確認を兼ねて、3Dモデルを試しに作ってみます。
なお、詳細のスケッチの描き方やモデリング方法は、別記事「FreeCADの使い方」で詳しく解説しています。
新規ドキュメントの作成
最初に画面上部のワークベンチ選択で「Part Design」を選択したら、下記の手順でSketcherワークベンチを開きます。
- 「新規」アイコンをクリック
- 「ボディーを作成」をクリック
- 「スケッチを作成」をクリック
- 平面を選択して「OK」をクリック(Sketcherワークベンチに切り替わる)

スケッチの作成
画面がSketcherワークベンチに切替わったら、スケッチを作成します。
- 「長方形を作成」アイコンをクリック
- 画面の2ヶ所をクリック(長方形が表示される)
- スケッチ編集を終了するため「閉じる」をクリック

押し出して立体にする
スケッチを基に立体を作成します。
- 「パッド」をクリック
- 立体が作られるので、厚みは既定値のまま「OK」をクリック
- 完成

次にやるべきこと
FreeCADは無料で使える高機能な3DCADですが、操作や考え方に独特な部分があり、独学では挫折しやすいソフトでもあります。
当サイトでは機械設計のエンジニアである私が、使用頻度の高い機能を重点的に、「初心者でも理解できるFreeCADの使い方」を目指して解説しています。
まずは、基本となる下記の内容から学ぶことをおすすめします。
- スケッチの基本的な描き方
- 拘束の考え方
- 押し出し・切り取りなどの基本操作
初期設定が完了し、簡単なモデルが作れるようになったら、下記の記事からFreeCADの使い方を順番に学んでいきましょう。




