作成した3Dモデルのアセンブリを作りたい!拘束の付け方を知りたい!と思っていませんか?
アセンブリはAssemblyワークベンチあるいは、Assembly4ワークベンチを使いますが、各機能の詳細を日本語で解説したサイトが少ないため、学習を始めようとした初心者にとって、挫折してしまうケースが非常に多いです。
私は機械設計のエンジニアとして、仕事で5本以上の3DCADを使用してきた経験があり、FreeCADを個人のものづくりで使えるようになりたくて、使用頻度の高い機能の学習を続けています。
そこでこの記事では、AssemblyワークベンチとAssembly4ワークベンチの基本となる部品の追加から組立方法までをまとめて解説します。
この記事でわかること。
- 部品の追加
- アセンブリの組み方
この記事は図解でわかりやすく解説しているので、初心者でも手順どおりに進めれば、アセンブリを作れます。
アセンブリの作り方を習得したい方は、是非ともこの記事を読んであなたの「ものづくり」に役立ててください。
アセンブリとは
複数の部品を組立てた組立品のことです。
主に製品状態の表現や、部品の位置合わせ、組付け後の静的干渉チェック、組付け時の動的干渉チェックの利用に使います。
ワークベンチの追加
FreeCADにはアセンブリを作成するワークベンチが幾つか存在します。
- 面合わせや軸合わせなど、幾何学形状で拘束するのがAssemblyワークベンチ
- 座標系を設定して拘束するのがAssembly4ワークベンチ
(AssemblyとAssembly4の互換性はありません)
Assembly4ワークベンチは、FreeCADの標準ワークベンチに含まれていないため、アドオンマネージャーで追加しておく必要があります。
執筆時のAssembly4ワークベンチのバージョン情報は「v0.50.2」です。
ワークベンチの追加の仕方がよくわからない!という方は、ワークベンチの追加の仕方をこちらの記事にまとめているので参考にしてください。
Assembly4ワークベンチでアセンブリを組む
Assembly4ワークベンチの使い方について解説していきます。
Assembly4ワークベンチを使ったアセンブリの流れ
部品を作成したら色替えをして、下記の手順でアセンブリを作成します。
- ローカル座標系の作成
- 新規ドキュメントの作成
- アセンブリコンテナの作成
- プロジェクトの統合
- 部品のリンクを挿入
下図に2部品のシンプルなアセンブリの構造を示します。
語尾の数字は手順の番号に対応しています。

部品の作成
アセンブリの構成部品を作成しておきます。
モデリングの方法がよくわからない!という方は、モデリングの方法をこちらの記事にまとめているので参考にしてください。



3Dモデルの色替え
各部品の3Dモデルの色がデフォルト設定のままだと、アセンブリを作成したときに識別しにくくなるため、色替えをしておきます。

ローカル座標系の作成
Assembly4は座標系で部品を合致させるため、まず各部品にローカル座標系を配置します。
Part Designワークベンチを選択した状態で、穴のエッジを選択して、ツールバーの「ローカル座標系を作成」アイコンをクリックして座標系を作ります。
ツリーの「Body」と「Local_CS」はアセンブリを作成するときの選択肢に複数出てくるため、わかりやすい名前に変更しておきます。
名前の変更方法は「Body」や「Local_CS」の上で右クリックして「名前の変更」を選択するとできます。

同様にパイプについても同じ作業を繰り返します。

ここでは名前を下記の様に変更しました。
- ベース:「Body」→「Body_base」、「Local_CS」→「Local_CS_base」
- パイプ:「Body」→「Body_pipe」、「Local_CS」→「Local_CS_pipe」
Local_CS(Local Coordinate System)とは、ローカル座標系のことで、Assembly4で部品を配置する場合、このLocal_CSを設定して合致させます。
これで部品の作業は完了なので、名前を付けて保存しておきます。
新規ドキュメントの作成
「新規」アイコンをクリックしてコンボビューのタブをモデルに切替えると、ツリーに「Unnamed」が追加されているので、部品ファイルと同じ場所に名前を付けて保存しておきます。(ここでは「Assy」で保存)
アセンブリコンテナの作成
ワークベンチをAssembly4に切替えます。
ツールバーの「New Assembly」アイコンをクリックすると、ツリーに「Parts」と「Assembly」が追加されます。
- Parts:アセンブリの構成部品を格納
- Assembly:アセンブリの設定内容を格納

プロジェクトの統合
メニューバーの「ファイル」→「プロジェクトの統合」で、部品のベースを選択します。
ツリーにBody_baseが追加されると共に、3Dビューにも3Dモデルが表示されます。

このBody_baseをPartsへドラッグしてPartsの要素に入れます。
同様にパイプについても同じ作業を繰り返します。

なお、ツリーにBodyが存在している状態で「New Assembly」アイコンをクリックすると、Bodyを自動でPartsの要素に入れることができます。
部品のリンクを挿入
作業を開始する前に、開いているファイルを保存して開き直します。
Partsを選択したらスペースキーを押して3Dモデルを非表示にします。
ツールバーの「Insert Part」アイコンをクリックすると、「Insert a Part」ウィンドウが表示されます。
Select Part to be inserted(挿入する部品を選択)から「Assy#Body_base(Body)」を選択して「Insert」をクリックすると、コンボビューに「place linked Part」が表示されます。
補足として、ファイルを開き直さなかった場合、作業を続けることはできますが、選択する部品名が保存前のファイル名で表示されてしまいます。

Attach to(接続先)は「Please select」→「Parent Assembly(親アセンブリ)」を選択します。
「Select LCS in Parent」の「LCS_Origin」をクリックしたら「OK」をクリックします。
つまり、この設定はツリーのModelに紐付いている座標系(LCS_Origin)に、ベースの座標系(Local_CS_base)を合致させることを意味します。
「LCS_Origin」とは原点の座標系のことです。

ツリーにBody_base001が追加されると共に、3Dビューにも3Dモデルが表示されます。
同様にパイプについても同じ作業でアセンブリにリンクを挿入します。

パイプの向きの調整が必要な場合、「Rotate X+90°あるいは、Rotate Y+90°、Rotate Z+90°」をクリックして、狙いの位置にできたら「OK」をクリックして完了です。

部品の面やエッジ、軸や穴を触って合致できない(座標系のみ)
部品の配置を編集
必要があれば、部品を別の座標系に移動することもできます。
ツリーに表示されているBodyのうち、移動させたい方をクリックします。
すると、ツールバーの「Edit Placement of a Part(部品の配置を編集する)」アイコンが選択できるようになるので、クリックするとコンボビューに「place linked Part」が表示されます。
Attach toや「Select LCS in Part」「Select LCS in Parent」の内容を決めて「OK」をクリックします。

アセンブリの階層構造
部品点数の多い製品を1つのアセンブリで作成した場合、部品を探すのに時間が掛かったり、拘束が複雑化したりするため、編集するとエラーが発生しやすくなります。
そこで、サブアセンブリを作成して、トップのアセンブリの下に配置(階層構造)すると管理しやすくなります。
階層構造の作り方
Top_AssyとSub_Assyの2つのファイルを用意します。
Top_Assyのファイルを開いたら、Sub_AssyのファイルをTop_Assyの3Dビューへドラッグします。
ツリーに追加されたSub_Assyの文字は、Top_Assyの文字に比べて太字になっています。
この太字はアクティブであることを意味します。
ドキュメントをアクティブに切替えるためには、ツリーのドキュメント名をダブルクリックします。
Top_Assyをダブルクリックしてアクティブにします。
ツールバーの「Insert Part」アイコンをクリックしてSub_Assy#Assemblyを選んで設定すれば完了です。

Assemblyワークベンチでアセンブリを組む
Assemblyワークベンチの使い方について解説していきます。
Assemblyワークベンチを使ったアセンブリの流れ
この記事を参考にアセンブリを作る方は、初期設定の記事でAssemblyワークベンチの設定を済ませてから読み進めてください。
Assemblyワークベンチの設定を済ませたら、作成した部品の色替えをして、下記の手順でアセンブリを作成します。
- 新規ドキュメントの作成
- 新規アセンブリの作成
- 構成部品の追加
- 合致の追加
部品の作成
アセンブリの構成部品を作成しておきます。
新規ドキュメントの作成
「新規」アイコンをクリックしてコンボビューのタブをモデルに切替えると、ツリーに「未称未設定」が追加されているので、部品ファイルと同じ場所に名前を付けて保存しておきます。(ここでは「Assy」で保存)
新規アセンブリの作成
ワークベンチをAssemblyに切替えます。
ツールバーの「アセンブリを作成」アイコンをクリックすると、ツリーに「Assembly」と「原点」、「Joints」が追加されます。
- Assembly:アセンブリを構成する親部品
- Joints:アセンブリの拘束条件を格納
構成部品の追加
ツールバーの「コンポーネントを挿入」アイコンをクリックすると、コンボビューに「コンポーネントを挿入」が表示されます。
「ファイルを開く」から作成した部品を選択して「OK」をクリックすると、ツリーに部品名が追加され、3Dビューにはアセンブリの原点に部品の原点が一致した状態で3Dモデルが配置されます。
補足として、最初に挿入する部品は、アセンブリが3Dビュー内を移動しないように固定する必要があるため、ベースとなる部品を選びます。
固定の解除方法
部品が固定されると3Dモデルにロックマークが表示され、移動や回転ができなくなります。
固定を解除する場合は、ツリーの「Joints」の中の「grounded Joint」を右クリックして「削除」を選択します。
合致の追加
「構成部品の追加」と同じ手順で、2つ目以降の部品を追加します。
2つ目以降の部品は、自動で固定されないので合致を追加して拘束します。
ツールバーの「合致」アイコンをクリックすると、コンボビューに「Jointを作成」が表示されます。
2部品の形状をそれぞれクリックすると合致できます。
合致の編集
アセンブリの合致はツリーのJointsに格納されています。
合致を編集する場合、合致名をダブルクリックすれば、対象の形状や合致の種類を変更できます。
合致を削除する場合、合致名を選択してDeleteキーを押します。
エラーになる合致
下記のような合致に矛盾が生じるとエラーが発生します。
- 形状変更によって合致した形状(エッジや面)が存在しなくなった
- 形状変更によって合致した形状の幾何拘束関係が成り立たなくなった
- 合致を重複して設定した
この場合、エラーになった合致を修正するか、削除して合致をやり直します。
階層構造の作り方
アセンブリに既存のサブアセンブリや、新規のサブアセンブリを追加できます。
- アセンブリに既存のサブアセンブリを追加する
「構成部品の追加」と同じ手順で、既存のサブアセンブリを選択して追加します。 - アセンブリに新規のサブアセンブリを追加する
アセンブリをダブルクリックしてアクティブにしておきます。
「新規アセンブリの作成」と同じ手順で、新規のサブアセンブリを追加します。
保存したデータの移動
1つのドキュメントに作成したアセンブリは、1つのファイルで保存されます。
しかし、複数のドキュメントにアセンブリを作成した場合は、ファイル数も複数になるため、データの移動に注意が必要です。
ファイルを移動させるときはFreeCADを終了して、リンク関係にあるファイルを一緒に移動させます。
リンク関係にあるファイルが別々のフォルダに移動した場合、アセンブリファイルを開いても別のフォルダのファイルは表示されません。
まとめ|FreeCAD アセンブリ|部品の追加から組み方までを解説
AssemblyワークベンチとAssembly4ワークベンチの基本となる部品の追加から組立方法までを解説してきました。
それぞれ拘束の特徴が異なるため、メリットとデメリットをまとめておきます。
部品の面やエッジ、軸や穴を触って合致できない(座標系のみ)
アセンブリを習得したら
アセンブリを習得したら、下記のリンクから学びたい内容の記事に進んでください。
おすすめは「Fasteners」「アニメーション」「組立図」です。