FreeCADをインストールしたけど使いにくい!最初に設定して便利に使いたい!設定のやり方と、おすすめの設定を教えて!と思っていませんか?
私もこれらの不明点を解消するために、自分の力で調べてわかるようになったことを整理したので、参考にしてください。
この記事でわかること。
- アドオンマネージャーでワークベンチとマクロの追加
- マウスの操作設定
- 背景色の設定
- ウィンドウの設定
- 起動時の設定
- Sketcherワークベンチの設定
- Draftワークベンチの設定
- TechDrawワークベンチの設定
- Renderワークベンチの設定
- 設定のリセット
無料で高性能なCADをお探しの方は、是非ともこの記事を読んであなたの「ものづくり」にFreeCADを役立ててください。
初期設定とは
FreeCADはインストールした時点で、すべての機能が使えないことと、設定を繰り返し変更する場面がでてきます。
そこで、機能の追加の方法と、設定の変更をして、自分の使いやすいようにカスタマイズしておきます。
それでは、FreeCADを起動させます。
初めて起動させると、言語は日本語で下図のように表示されます。
スタートページは使わないため、画面下のスタートページのタブを閉じておきます。
このように、ファイルはタブで表示されるので、必要に応じて切替えたり閉じたりできます。
ワークベンチとは
ワークベンチとは、行いたい作業に関連したメニューやツールなどを、ひとまとめにした機能のことです。
FreeCADにはモデリングに特化したワークベンチや、アセンブリに特化したワークベンチなど、多種多様のワークベンチが存在するので、目的に応じて切替えて使います。
このワークベンチには、標準でインストールされているワークベンチと、別途インストールが必要なワークベンチがあります。
アドオンマネージャーでワークベンチとマクロの追加
FreeCADはインストールした時点で、複数のワークベンチを使えますが、板金やアセンブリなどのワークベンチはインストールされていません。
そこで、これらのワークベンチやマクロなどを、インストールしたり更新したり管理するのがアドオンマネージャーです。
アドオンのおすすめ
- 板金 → Sheet Metal
- アセンブリとアニメーション → Assembly4
- ファスナー → Fasteners
- レンダリング → Render
- マクロ → FCInfo
ワークベンチの追加
ここでは、Assembly4のワークベンチの追加の仕方について解説します。
メニューバーの「ツール」→「Addon manager」をクリックすると「アドオン・マネージャーへようこそ」ウィンドウが表示されます。
初回はそのまま「OK」をクリックして「アドオン・マネージャー」ウィンドウを表示させます。
ワークベンチの一覧から「Assembly4」を選択して「インストール」をクリックします。
「Success」ウィンドウが表示されたら「OK」をクリックします。
「アドオン・マネージャー」ウィンドウの「閉じる」をクリックします。
再起動を促すアラートが表示されるので「今すぐ再起動」をクリックして、FreeCADを再起動させます。
ワークベンチのプルダウンメニューをクリックして「Assembly4」が追加されていれば完了です。
同様の手順で他のワークベンチも追加しておきます。
なお、追加したワークベンチをアンインストールしたい場合は「アドオン・マネージャー」ウィンドウでワークベンチを選択後「アンインストール」をクリックします。
マクロの追加
「アドオン・マネージャー」ウィンドウを表示させます。
マクロの一覧から「FCInfo」を選択して「インストール」をクリックします。
「ボタンを追加しますか?」ウィンドウが表示されるので、このマクロのボタンをツールバーに追加するかしないかを自分の好みで選択します。
「アドオン・マネージャー」ウィンドウの「閉じる」をクリックします。
メニューバーの「マクロ」→「マクロ…」をクリックすると、マクロの実行ウィンドウが表示されるので、「FCInfo.FCMacro」が追加されていれば完了です。
ワークベンチとマクロの更新
アドオンマネージャーでインストールしたワークベンチとマクロは、不定期に更新されるため、月に一度くらいは「アップデートを確認」をクリックして、更新できるものがあれば更新することをおすすめします。
基本的な設定
メニューバーの「編集」→「設定」から設定ウィンドウを表示させます。
マウスの操作設定
設定ウィンドウの「表示」→「ナビゲーション」タブを開きます。
3Dナビゲーション
マウスのキーの配置を変更できます。
右側の「CAD」をクリックして出てくるプルダウンメニューから選びます。
選んだ項目のキーの配置は隣の「マウス」をクリックすると表示されます。
キーボードを使わず、マウスだけで操作したいなど、用途に合わせて選びましょう。
回転モード
3Dモデルの回転基準を変更できます。
- 「カーソル位置にドラッグ」は、マウスポインタの位置を中心に回転させる
- 「ウィンドウの中央」は、ウィンドウの中心でモデルを回転させる(おすすめです)
アニメーションを有効
3Dモデルの表示を切替えるときの動きを変更できます。
- チェックを入れると、ビューの切替えに動きがあるので、分かりやすくなる
- チェックを外すと、ビューの切替えが瞬時に行われるので、動作が重いときに有効
カーソルの位置にズーム
3Dモデルのズーム基準を変更できます。
- チェックを入れると、マウスポインタの位置を中心にズームさせる
- チェックを外すと、ウィンドウの中心でモデルをズームさせる(おすすめです)
ズーム量
3Dモデルの拡大縮小の移動量を変更できます。
0.20から値を小さくしていくと動きが滑らかになります。(筆者の好みは0.15です)
マウスの項目とキーの配置は下記のとおりです。
背景色の設定
設定ウィンドウの「表示」→「色」タブを開きます。
単色とグラデーション
背景色を単色とグラデーションのどちらからに変更できます。
CADの映像を資料に載せるとき、資料の背景色に合わせると見栄えが良くなります。
線状グラデーションにチェックが入っているので、単色にチェックを入れます。
カラーボタンをクリックして、色を白(資料の背景色が白の場合)に変更します。
元の背景色に戻す場合は線状グラデーションにチェックを入れれば切替えが楽に済みます。
グラデーションの背景色を変更する場合、デフォルトの値を覚えておくと、楽に元の設定に戻せます。
グラデーションの背景色のデフォルト設定は下記のとおりです。
- 上部色 色相240、彩度126、明度101、赤51、緑51、青101、HTML#333365
- 下部色 色相240、彩度28、明度170、赤151、緑151、青170、HTML#9797aa
ウィンドウの設定
設定ウィンドウの「標準」→「標準」タブを開きます。
小数点以下桁数
寸法を測定した時の小数点の桁数を変更できます。
指数表現はできません。
スタイルシート
外観をダークモードなどに変更できます。
右側の「スタイルシートなし」をクリックして出てくるプルダウンメニューから選びます。
スタイルシートの中で人気のあるダークモードには、いくつかの種類があります。
起動時の設定
設定ウィンドウの「ワークベンチ」を開きます。
開始時のワークベンチ
起動時のワークベンチを変更できます。
右側の「Start」をクリックして出てくるプルダウンメニューから選びます。
新規の部品を作ることが多いなら「Part Design」を選択します。
「Start」は基本的に使わないため、メモリを消費しないように「Start」右側の自動読み込みのチェックボックスからチェックを外しておきます。
FreeCADを再起動すると、選択したワークベンチで開始できます。
Sketcherワークベンチの設定
ワークベンチの設定は設定ウィンドウから行いますが、事前に起動したワークベンチのみ表示されます。
ここでは、ワークベンチをSketcherに切替えておきます。
表示の変更
設定ウィンドウの「スケッチャー」→「表示」タブを開きます。
フォントサイズ
寸法数値のフォントサイズを変更できます。
デフォルトの値は17pxですが、22px以上にすると見やすくなります。
サポートされている単位系の基本単位を非表示
寸法数値の語尾に表示される「mm」を非表示にできます。
チェックを入れると、非表示にできるので、たくさんの寸法数値を指示した場合でも、見やすくなります。
表示色の変更
設定ウィンドウの「スケッチャー」→「色」タブを開きます。
背景色を白で作業する場合、スケッチ線のデフォルト色と同色となり識別できなくなるため、下記項目の色を黒に変更します。
- カーソルの十字線
- エッジの非拘束状態のジオメトリー要素の色
- エッジのデフォルト色
- 頂点のデフォルト色
Draftワークベンチの設定
ワークベンチの設定は設定ウィンドウから行いますが、事前に起動したワークベンチのみ表示されます。
ここでは、ワークベンチをDraftに切替えておきます。
テキストスケッチのフォントを登録
設定ウィンドウの「Draft」→「テキストと寸法線」タブを開きます。
入力した文字を押し出したり、凹ませたりする場合、テキストスケッチを使います。
このテキストスケッチの作成にはフォントを読み込ませる必要があります。
「シェイプストリング設定」にフォントのパスを入力すれば、テキストスケッチの作成のたびにフォントを読み込ませる必要が無くなります。
Windowsの場合、フォントが格納されているフォルダは「C:\Windows\Fonts」です。
直接Windowsフォルダのフォントを選ぼうとするとエラーが出てしまうため、筆者は漢字と英数字に対応した「メイリオ」をフォントフォルダからコピーして、そのコピーしたファイルを登録させました。
なお、フォントによっては漢字が文字化けしてしまうこともあります。
arialの場合、「平面abc」は「□□abc」に文字化けしました。
TechDrawワークベンチの設定
ワークベンチの設定は設定ウィンドウから行いますが、事前に起動したワークベンチのみ表示されます。
ここでは、ワークベンチをTechDrawに切替えておきます。
この設定はJIS機械製図に則った図面を描くためにまとめました。
一度設定をすれば、設定後に作成する投影図や線種などの変更をしなくて済みます。
規則
設定ウィンドウの「TechDraw」→「標準」タブを開きます。
投影グループ角度(投影法)
「等角投影グループ角度」を「第1」(第一角法)から「第3」(第三角法)に変更します。
隠線のスタイル(かくれ線の線種)
「隠線のスタイル」を「実線」から「破線」に変更します。
寸法
設定ウィンドウの「TechDraw」→「寸法」タブを開きます。
代替の小数点(小数点の表示桁数)
「グローバルな小数点を使用」のチェックを外し「代替の小数点」の値を2→1に変更します。
矢印のスタイル
「矢印のスタイル」はFilled ArrowでもOKですが、ここではOpen Arrowに変更します。
注釈
設定ウィンドウの「TechDraw」→「注釈」タブを開きます。
切断線のスタイル
「切断線のスタイル」を破線→一点鎖線に変更します。
線幅グループ(線の太さ)
「線幅グループ」FC 0.25mm→FC 0.35mmに変更します。
詳細の注目位置のスタイル(詳細図の範囲を示す円)
「詳細の注目位置のスタイル」を破線→Continuousに変更します。
中心線のスタイル
「中心線のスタイル」の値を破線→一点鎖線に変更します。
吹き出し引き出し線の終端(風船の矢印のスタイル)
「吹き出し引き出し線の終端」をFilled Arrow→Open Arrowに変更します。
吹き出しの引き出し線の基線長さ
「吹き出しの引き出し線の基線長さ」を5.00→0mmに変更します。
これらの内容は、設定変更後に投影図を配置したものから反映されます。
なお、中心線のスタイルだけは変更が反映されないようです。
隠線を削除
設定ウィンドウの「TechDraw」→「HLR」タブを開きます。
縫い目線を表示
チェックを外します。 (モデリング時に発生する不要な線を削除)
Renderワークベンチの設定
ワークベンチの設定は設定ウィンドウから行いますが、事前に起動したワークベンチのみ表示されます。
ここでは、ワークベンチをRenderに切替えてから、設定ウィンドウの「Render」を開きます。
General
レンダリングで生成する画像のサイズは「Default render width」(幅)と「Default render height」(高さ)に入力した数値で決まります。
デフォルトの数値は幅800pxと高さ600pxです。
Appleseed
ダウンロードとインストール
公式サイト https://appleseedhq.net/ の画面上部の「Download」をクリックして「Windows Vista and Later」をクリックするとダウンロードが始まります。
ダウンロードした「appleseed-2.1.0-beta-0-g015adb503-win64-vc141.zip」を解凍します。
インストーラーは無いので、ここでは解凍したフォルダをProgramFileに格納しました。
設定
実行ファイルの「appleseed.cli.exe」と「appleseed.studio.exe」をインストール先のフォルダから検索します。
「appleseed.cli.exe」のパスを「Appleseed command (cli) path」の右欄に入力します。
ここでは「C:/Program Files/appleseed/bin/appleseed.cli.exe」を入力しました。
「appleseed.studio.exe」のパスを「Appleseed Studio path」の右欄に入力します。
ここでは「C:/Program Files/appleseed/bin/appleseed.studio.exe」を入力しました。
Cycles
公式サイト https://www.cycles-renderer.org/ にアクセスするようですが詳細は不明です。
LuxCoreRender
ダウンロードとインストール
公式サイト https://luxcorerender.org の画面上部の「DOWNLOAD」をクリックして「LuxCore API SDK release v2.6」の「Windows 64bit」をクリックするとダウンロードが始まります。
ダウンロードした「luxcorerender-v2.6-win64-sdk.zip」を解凍します。
インストーラーは無いので、ここでは解凍したフォルダをProgramFileに格納しました。
設定
実行ファイルの「luxcoreconsole.exe」と「luxcoreui.exe」をインストール先のフォルダから検索します。
「luxcoreconsole.exe」のパスを「LuxCore command (cli) path」の右欄に入力します。
ここでは「C:/Program Files/luxcorerender-v2.6-win64-sdk/bin/luxcoreconsole.exe」を入力しました。
「luxcoreui.exe」のパスを「LuxCore UI path」の右欄に入力します。
ここでは「C:/Program Files/luxcorerender-v2.6-win64-sdk/bin/luxcoreui.exe」を入力しました。
エラーが発生してレンダリングできない場合の対処方法
RenderワークベンチのLuxCoreでエラーが発生する場合、下記内容に対応します。
上記サイトの「DOWNLOAD」ページ上部の「All Windows executables require the Visual C++ Redistributable Packages for VS 2017 and Intel C++ redistributable.」から、下記の2つをダウンロードしてインストールします。
- Visual C++ Redistributable Packages for VS 2017
- Intel C++ redistributable
Intel C++ redistributableを解凍したフォルダには、ファイルが2つありますが、64bit版の「ww_icl_redist_intel64_2018.3.210」をインストールします。
dllが足りないと表示が出る場合は、インストール先のlibフォルダの「embree3.dll」「luxcore.dll」「OpenImageDenoise.dll」「tbb.dll」「tbb12.dll」をbinフォルダにコピーします。
Pov-Ray
ダウンロードとインストール
公式サイト http://www.povray.org の画面上部の「Download」をクリックして「Download Windows Installer」をクリックするとダウンロードが始まります。
ダウンロードした「povwin-3.7-agpl3-setup.exe」をインストールしていきますが、インストール先のパスをメモしておきます。
インストールが完了すると「povwin-3.7-editor.exe」のダウンロードも実行されるので、このファイルについても同様にインストールします。
設定
実行ファイルの「pvengine64.exe」をインストール先のフォルダから検索します。
「pvengine64.exe」のパスを「PovRay executable path」の右欄に入力します。
ここでは「C:/Program Files/POV-Ray/v3.7/bin/pvengine64.exe」を入力しました。
Intel Ospray Studio
ダウンロードとインストール
公式サイト http://www.ospray.org/ospray_studio/ の画面上部の「Download」をクリックして「ospray_studio-0.13.0.x86_64.windows.msi」をクリックするとダウンロードが始まります。
ダウンロードした「ospray_studio-0.13.0.x86_64.windows.exe」をインストールしていきますが、インストール先のパスをメモしておきます。
設定
実行ファイルの「ospStudio.exe」をインストール先のフォルダから検索します。
「ospStudio.exe」のパスを「OspStudio executable path」の右欄に入力します。
ここでは「C:/Program Files/Intel/OSPRay Studio v0/bin/ospStudio.exe」を入力しました。
Pbrt
公式サイト https://www.pbrt.org/ にアクセスするようですが詳細は不明です。
LuxRender(deprecated)
廃止されたため、設定しても利用できません
設定のまとめ
設定のリセット
設定のリセットをすると、設定ウィンドウで変更した内容を初期状態に戻せます。
このほかに、スケッチの作図コマンドで線が引けなくなったなど、FreeCADが正しく動作しないときに、設定のリセットで解決することが報告されています。
初期設定を完了できたら
初期設定を完了できたら、下記のリンクから学びたい内容の記事に進んでください。
おすすめは「スケッチ」です。