3Dモデルを作りたい!Part Designワークベンチの使い方を知りたい!と思っていませんか?
モデリングは色々なコマンドを駆使して作っていくことになりますが、重要なのはその形状に対して最適なコマンドを使うことです。
そうすることで、修正が必要になったとしても、短時間で済ますことができたりします。
そこでこの記事は、Part Designワークベンチのモデルの作り方と編集の仕方について、筆者が自分の力で調べて操作できるようになったことを整理したので、参考にしてください。
この記事でわかること。
- 画面の見方
- スケッチの平面を指定
- 3Dモデルの作成
- 3Dモデルの編集
- 計測コマンド
モデリングを習得したい方は、是非ともこの記事を読んであなたの「ものづくり」に役立ててください。
Part Designワークベンチとは
FreeCADには標準で3Dモデルを作成するワークベンチが2つ存在します。
- 基本形状の組合せで3Dモデルを作成するのがPartワークベンチ
- スケッチで輪郭線を描いて3Dモデルを作成するのがPart Designワークベンチ
丸や四角など単純な形状だったり、その組み合わせだけであればPartワークベンチでも問題ありませんが、部品設計をするのであれば、輪郭線を引いて3Dモデルを作成した方が、複雑な形状に対しても作りやすく、モデルの構成要素の数も簡素化できるので、編集しやすくなります。
Part Designワークベンチの画面説明
画面はメニューバーとツールバー、コンボビュー、3Dビュー、ステータスバーから構成されています。
メニューバー
選択したワークベンチに対応したすべてのコマンドが格納されています。
ツールバー
新規作成や、保存、作業の取り消し、取消しのやり直し、全てにフィット、視点の切替など、よく使うコマンドが表示されています。
モデリングコマンドは特に使用頻度が高いので、自分の使いやすい位置に配置しておきましょう。
描画スタイル
以下の種類がありますが、使うのは「そのまま」と「ワイヤーフレーム」くらいです。
表示方向
3Dモデルを等角投影、正面、平面、右側面、背面、下面、左側面のいずれかの方向から表示したいときに切替えできます。
コンボビュー
コンボビューは3Dモデルの作成履歴や、モデリングコマンド作成時のパラメーター入力画面などが表示されます。
デフォルトでタスクタブが表示されているため、3Dモデルの作成履歴が見たい場合は、モデルタブに切替えます。
ファイルを閉じようとして、コンボビューの右上の×マークをクリックしてしまうと、コンボビューが閉じてしまいます。
再表示させるためには、メニューバーの「表示」→「パネル」から表示される「コンボビュー」を選択します。
3Dビュー
3Dビューはスケッチや3Dモデル、アセンブリ、図面などを表示させる領域です。
表示されているものは、マウスだけでなく、ナビゲーションキューブやキーボードからも操作できます。
また、座標軸を表示させてモデリングすることもできます。
ファイルを閉じたい場合は、3Dビューとステータスバーの境界にタブがあるので、タブの×マークをクリックします。
マウス
ビューの操作のほとんどはマウスを使うので、下記の方法のいずれかで、自分の好みに合うマウスの操作設定を選んでおきます。
- 設定から行う(初期設定の記事を参照してください)
- 3Dビューの表示範囲で右クリックして行う
- ステータスバーから行う
ナビゲーションキューブ
3Dビューの右上に「ナビゲーションキューブ」が表示されています。
この機能を使うと、投影方法を正投影または遠近法にしたり、その面やエッジをクリックすると、3Dモデルをそのビューに切替えることができます。
ナビゲーションキューブの配置は「設定」→「表示」→「ナビゲーション」タブ→「ナビゲーションキューブ」で変更できます。
ナビゲーションキューブのチェックを外せば非表示にすることもできます。
キーボード
Shift+左右の矢印キーでビューの方向を変えずに90°おきに回転できます。
マウス操作の設定のうち、Blenderのみ矢印キーを押すとパン(平行移動)できます。
座標軸の表示
下記のいずれかの方法で表示できます。
- メニューバーの「表示」→「座標軸の表示と切り替え」(ファイルを開き直す度に設定が必要)
- 設定ウィンドウの「表示」→「3Dビュー」タブを開きます。「既定で公差軸を表示」のチェックを入れる
- ツリーのOrigin(原点)はデフォルトで非表示状態のため、スペースキーを押して表示状態にする。さらにOriginから平面と軸を展開して、3つの平面を選択した状態でスペースキーを押す(下図参照)
まれにスペースキーを押しても表示状態を変更できない場合があるので、そのときはFreeCADを再起動させれば切替えることができるようになります。
断面の表示
メニューバーの「表示」→「断面」を選択すると、コンボビューに「Clipping」が表示されるので、「クリッピング前後」「クリッピング左右」「クリッピング上下」「任意の方向でクリッピング」のいずれかのチェックボックスにチェックを入れます。
オフセットの数値を変更したり「反転」をクリックして、断面の位置や切り取る側を調整しますが、「任意の方向でクリッピング」のみ、「ビュー」をクリックすると、表示している向きに対して垂直な断面を切ることができます。(下図参照)
断面の切り口は空洞化された状態で表示されるため、内部の面を1つずつ選択すると見やすくなります。なお、この断面は表示を切替えているだけなので、「閉じる」をクリックすると元の状態に戻ります。
回転表示
3Dモデルを自動で回転させたい場合、メニューバーの「ツール」→「回転表示」を選択すると、「回転表示」ウインドウが表示されるので、「再生」をクリックして、角度やスピードを調整します。
ステータスバー
ステータスバーにはカーソルを置いたコマンドの説明が表示されます。
モデリングの流れ
モデリングは基本的に下記の手順を繰り返すので、それぞれのポイントを解説します。
- スケッチの平面を指定
- スケッチの作成
- 3Dモデルの作成
- 3Dモデルの編集
スケッチの平面を指定
スケッチは「基準平面、データム平面、形状の平面」のうちのいずれかを指定して輪郭線を描いていきます。
状況に応じて使い分けると、形状変更が必要になったときの編集を簡単にできる場合があります。
基準平面(ベース平面)を指定
1つ目のスケッチは新規ドキュメントを作成した後に、基本的に基準平面を選択しますが、2つ目以降のスケッチでも基準平面を選択したい場合、3Dビューの背景を1度クリックして何も選択していない状態にしてから「スケッチを作成」アイコンをクリックします。
すると、コンボビューに「フィーチャーを選択」が表示されるので、用途に合った基準平面を選択します。
基準平面とは、X軸、Y軸、Z軸を組合せたXY平面、XZ平面、YZ平面のことです。
平面を指定するときは画面右下の座標系から、2軸のなす面を読み取れば視覚的に決めることができます。
データム平面を指定
データム平面を選択して、「スケッチを作成」アイコンをクリックします。
データム平面とは、任意の位置と角度で自由に作成できる平面のことです。
形状の平面を指定
3Dモデルの平面を選択して、「スケッチを作成」アイコンをクリックします。
スケッチの作成
スケッチで輪郭線を描くときに3Dモデルと交差すると、線が表示されないため、下記のいずれかの方法で表示させます。
- 描画スタイルを変更する
- 3Dモデルを半透明にする
- セクション表示を有効にする
スケッチの作り方がよくわからない!という方は、スケッチの作り方をこちらの記事にまとめているので参考にしてください。
描画スタイルを変更する
スケッチを完成させるまでワイヤフレームに切替えます。
3Dモデルを半透明にする
コンボビューのツリーからBodyを右クリックして「表示」を選択すると、コンボビューに「表示プロパティ」が表示されます。
次に透明度の値を「50」以上に変更して「閉じる」をクリックします。
セクション表示を有効にする
Sketcherワークベンチを開いている場合、ツールバーの「セクション表示」アイコンをクリックすると、3Dモデルを作成中のスケッチ平面で切断して、断面を表示します。
元の表示に戻す場合は、再び「セクション表示」アイコンをクリックします。
3Dモデルの作成
モデリングコマンドの基礎から応用までと、文字のモデリングなど使用頻度の高い内容についてまとめました。
モデリングコマンド
作りたい形状によって、最適なコマンドを自分で選ぶ必要があるため、一通りすべてのコマンドを使えるようになっておく必要があります。
モデリングの流れやモデリングコマンドの使い方がよくわからない!という方は、モデリングコマンドの使い方をこちらの記事にまとめているので参考にしてください。
文字のモデリング
入力した文字列からテキストスケッチを作成して、モデリングコマンドで凸形状あるいは、凹形状の刻印を作成します。
ドラフトワークベンチに切替えます。
テキストスケッチの作成にはフォントを読み込ませる必要があるので、初期設定の記事(Draftワークベンチの設定)を参考に設定してください。(この設定をすれば、テキストスケッチの作成のたびにフォントを読み込ませなくて済みます)
形状の平面を選択して「テキストからシェイプへ」アイコンをクリックします。
コンボビューに「シェイプストリング」が表示されるので、下記の内容を設定して「ok」をクリックします。
- 3Dビューで文字列を配置したい位置でクリック(クリックした点が1文字目)
- 文字列 ここでは樹脂種別(例として難燃ABS樹脂)を入力
- 高さ ここでは表示を分かりやすくするため4mmを入力
ワークベンチをPart Designに切替えて、ShapeStringをBodyへドラッグしてBodyの要素に入れます。
ShapeStringを選択して、パッドで凸形状あるいは、ポケットで凹形状を作成します。
シェイプストリングの形状を編集したい場合は、コンボビューのツリーに追加された「ShapeString」をダブルクリックします。
マルチボディのモデリング
「新規ドキュメント作成」アイコンをクリックして、メニューバーの「ファイル」→「プロジェクトの統合」でマルチボディにしたいモデルを読込みます。
読込んだモデルはコンボビューのツリーにBodyとして追加され、3Dビューには座標系同士が一致した状態で配置されるので、原点からどこに配置したいか考えてモデリングします。
配置が完了したらツリーのBodyをすべて選択して、ブーリアン演算で結合します。
モデルの面を分割したくないとき
下図のように、立方体と円柱のフィーチャーを重ねると、同一平面上にもかかわらず面が分割されてしまいます。
モデルの面を分割したくないときは、フィーチャーのプロパティから、Part DesignのRefineの値を「false」→「true」に変更します。
FreeCAD1.0で作成したモデルは、trueがデフォルト設定に変更されました。
3Dモデルの色替え
コンボビューのツリーからBodyを右クリックして「表示」を選択すると、コンボビューに「表示プロパティ」が表示されます。
次に下記のいずれかの方法で設定したら「閉じる」をクリックします。
- 「デフォルト」をクリックして、プルダウンメニューからマテリアルを選ぶ。
- 「シェイプの色」のカラーバーをクリックして、指定したい色を選ぶ。
3Dモデルの編集
スケッチを作ったり、モデリングコマンドで立体形状を作ると、コンボビューのツリーに使用したコマンドが追加されていきます。
これらは3Dモデルの作成履歴となるので、過去に作成した形状でも、そのフィーチャーをダブルクリックすれば編集できます。
フィーチャーとは、部品を形作る1つの要素のことです。
この他にも、複雑な形状の3Dモデルを作り込んでいくと、フィーチャーの数が多くなり、ツリーの構成も不規則になりがちなため、編集をするときに時間が掛かるようになります。
そこで、ツリーの編集の仕方と、編集しやすいツリーの構成について解説していきます。
フィーチャーの表示と非表示
3Dモデルの編集はフィーチャーの作成順序を頭に入れて、必要な部分に編集を加えると規則性のあるツリーにできます。
この作成順序は、フィーチャーの表示と非表示の切替えを、Bodyの上から順番に行うことで確認できます。
フィーチャー名をクリックしてスペースキーを押すと、表示のフィーチャーは非表示になり、非表示のフィーチャーは表示になります。
フィーチャーが複数ある場合、フィーチャーを表示にした位置によって、それ以降のフィーチャーは非表示となります。
表示と非表示の区別の付け方は下記のとおりです。
- 表示のフィーチャーは、アイコンがカラーでフィーチャー名が黒で表示される
- 非表示のフィーチャーは、アイコンとフィーチャー名がグレーで表示される
編集したいフィーチャーを探す場合、手当たり次第にフィーチャーをダブルクリックしていくと時間がかかるので、フィーチャーの表示と非表示を繰り返すことをおすすめします。
フィーチャーの並べ替え
ツリーに表示されているスケッチとデータム平面、フィーチャーは、Bodyの中で作成した順序を並べ替えることができます。
ただし、フィーチャーについては、スケッチを作成する段階で基準平面あるいは、データム平面を指定したものに限ります。
移動したいフィーチャーの上で右クリックして「オブジェクトを他のオブジェクトの後へ移動」を選択すると、「フィーチャーの選択」ウインドウが表示されます。
移動したい位置の1つ前のフィーチャーを選択して「ok」をクリックします。
上図ではPadで立方体を作り、Pocketで貫通の穴を開け、Pad001で円柱を作りました。
PocketとPad001を並べ替えると、穴が貫通する仕組みです。
ツリーのロールバック
モデリングを行うと、Bodyの最後尾にスケッチやフィーチャーなどが追加されていきますが、履歴の途中に戻って(ロールバック)スケッチやデータム平面、フィーチャーを追加することもできます。
通常、Bodyの最後尾となるフィーチャーのアイコンにはチップマークが付いています。このマークはフィーチャーなどを作成すると、チップマークの付いたフィーチャーの下に追加されることを示します。また、フィーチャーを追加すると共に、チップマークも追加したフィーチャーに移動していきます。
チップマークを付けたいフィーチャーの上で右クリックして「チップ設定」を選択すると、そのフィーチャーのアイコンにチップマークを移動させることができます。
なお、チップマークの下にあるすべてのフィーチャーは非表示状態となり、ロールバックされている間、使用できなくなります。そのため、編集を終えたらBodyの最後尾のフィーチャーを再度チップに設定しておく必要があります。
フィーチャーの削除
フィーチャー名の上で右クリックして削除を選択するか、フィーチャー名をクリックしてDeleteキーを押します。
再構築
削除したフィーチャーを元に戻したり、過去に作ったフィーチャーの形状変更をするなどしたときに、3Dモデルの表示が反映されないことがあります。
そのときはフィーチャーのアイコンに更新マークが付くと共に、ツールバーの「更新」アイコンもアクティブ状態となるので、「更新」アイコンをクリックするか、F5キーを押すことで、表示を更新できます。
計測コマンド
Part Designの「距離計測」コマンドは、2点間の最小距離しか測定できません。
そこで、代わりにAssembly4ワークベンチのMeasureと、FCInfoのマクロを使用します。
ワークベンチとマクロの追加の仕方がよくわからない!という方は、ワークベンチとマクロの追加の仕方をこちらの記事にまとめているので参考にしてください。
中心距離、中点距離、最小距離の測定
ワークベンチをAssembly4に切替えて「Measure」アイコンをクリックします。
コンボビューに「Measure」が表示されるので、Controlsの上の枠と下の枠のアイコンをそれぞれ選び、測定したい対象物の「点、エッジ、面」のいずれかをクリックします。
- 中心距離 円の周囲、円の面をクリック
- 中点距離 エッジをクリック
- 端点距離 点をクリック
- 最小距離 点、エッジ、面をクリック
- 半径 円の周囲をクリック
- エッジの長さ エッジをクリック
- 表面積 面をクリック
- 角度 エッジ、面をクリック
表面積、体積、重心座標の測定
アドオンマネージャーのマクロから「FCInfo」をインストールしておきます。
詳細は初期設定の記事を参照してください。
メニューバーの「マクロ」→「マクロ…」をクリックすると、マクロの実行ウィンドウが表示されるので、「FCInfo.FCMacro」を選択して、「実行」をクリックします。
Bodyを選択後、3Dビューの右側に表示された項目のうち、下記の値を読み取ります。
- Surface of the form (表面積)
- Surface of the face (選択した面1つのみの面積)
- Volume of the form (体積)
- Center of Mass (重心座標)
3Dモデルの保存
ツールバーの「保存」アイコンあるいは、メニューバーの「ファイル」→「保存」をクリックします。
ファイルの拡張子は「.FCStd」で保存されます。
エクスポート
ファイル形式を変えて保存したい場合、3Dモデルを選択した状態で、メニューバーの「ファイル」→「エクスポート」をクリックします。
- 他のCADで互換性のある形式「.step」「.iges」
- 3Dプリンターの出力形式「.stl」「.obj」
- その他のファイル形式にも対応
インポート
他のソフトウェアで作成されたCADデータを取り込みたい場合、メニューバーの「ファイル」→「インポート」をクリックします。
まとめ|FreeCAD Part Design ワークベンチを初心者向けに解説
FreeCADは市販ソフトに比べると、3Dモデルの編集作業でエラーが発生しやすいので、対策をまとめておきます。
- 3Dモデルの編集が必要になることを想定して、可能な限り基準平面あるいは、データム平面からフィーチャーを作成する。
- フィレットや面取りなどは編集でエラーが発生しやすいので、3Dモデルの作成順序の中でも最後の方に作成する。
- 編集したいフィーチャーの探す時間を短縮するため、部品の構成要素ごとにフィーチャーを続けて作成する。
Part Design ワークベンチを習得したら
モデリングを習得したら、下記のリンクから学びたい内容の記事に進んでください。
おすすめは「モデリングコマンド」や「サーフェス」「板金」「図面」「アセンブリ」「FEM」「練習問題」です。