部品図は作れるようになったけど、組立図も作りたい!と思っていませんか?
組立図は対象が部品からアセンブリに変わっただけで、基本的に部品図の作り方と同様になります。
そこでこの記事は、図面の記事で紹介しきれなかった内容と、組立図に必要な指示について、筆者が自分の力で調べて操作できるようになったことを整理したので、参考にしてください。
この記事でわかること。
- A0~A3の図枠の表示
- 第三角法の記号の配置
- 第三角法による投影図の配置、断面図の作成
- 寸法と注記、引出線、溶接記号、表題欄の記入
- 部品欄の作成と配置、バルーン(照合番号)の配置
- DXFとPDFでエクスポート
組立図の作り方を習得したい方は、是非ともこの記事を読んであなたの「ものづくり」に役立ててください。
組立図とは
組立品の図面のことで、ワークベンチはTechDrawを使います。
部品図と大きく異なる点は、部品欄とバルーン、組立指示が必要になることです。
TechDrawワークベンチの画面説明
画面はツールバーとコンボビュー、メインビュー、ステータスバーで構成されています。
組立図の流れ
この記事を参考に図面を作る方は、初期設定の記事でTechDrawワークベンチの設定を済ませてから読み進めてください。
初期設定を実施しないと、投影法や線種などがJIS機械製図の規則と異なってしまい、作図後に設定を変更しても反映されないからです。
TechDrawワークベンチの設定を済ませたら、下記の手順で図面を作成します。
- アセンブリを開く
- 図枠の表示
- 投影図の配置
- 寸法と注記、引出線、溶接記号、表題欄の記入
- 部品欄の作成と配置、バルーン(照合番号)の配置
- DXFとPDFでエクスポート
アセンブリを開く
最初に図面化したいアセンブリを用意したら名前を付けて保存しておきます。
ここでは「A01」としました。
アセンブリの作り方がよくわからない!という方は、アセンブリの作り方をこちらの記事にまとめているので参考にしてください。
図枠の表示
ワークベンチをTechDrawに切替えます。
A4のデフォルトの図枠にしたい場合は、ツールバーの「デフォルトページを挿入」アイコンをクリックしますが、それ以外の図枠にしたい場合は、「テンプレートを使用してページを挿入」アイコンをクリックします。
ここではA3の図枠を使うため、「テンプレートを使用してページを挿入」をクリックします。
すると、テンプレートの一覧が表示されるので、「A3_LandscapeTD」を選択して「開く」をクリックします。
なお、選択できる図枠は、A0~A4のサイズに対応しており、表題欄の違いでいくつかの種類があります。
参考までに、A4とA3のテンプレートを紹介します。
このA3の図枠は第一角法の記号がデフォルトで表示されているので、第三角法に修正することを忘れないようにしてください。
まず、図枠に表示されている第一角法の記号を、画像編集ソフトで加工して第三角法の記号に作り替えます。
当サイトでは、画像ファイルの大きさを、幅236×高さ124ピクセルで作成しました。
そのデータをビットマップ形式で保存して、ツールバーの「ページにファイルからビットマップを挿入」アイコンをクリックします。
保存したデータを選択して「開く」をクリックすると、第三角法の記号が図枠内に表示されます。
あとは、第一角法の記号の上に重ねれば、画面の表示状態のとおりに第三角法の記号でエクスポートできます。
投影図の配置
表示させた図枠に投影図を配置するためには、3Dモデルを選択状態にする必要があるため、コンボビューの「Assembly」を選択します。
このとき、画面の3Dモデルの表示状態が正面図になるため、ツールバーの表示方向の切替で、正面図にしたい表示にしておきます。
次にツールバーの「描画オブジェクトの複数のリンクされたビューを挿入」アイコンをクリックして、第三角法の三面図と等角投影図を配置します。
断面図の作成
アセンブリでも断面図を作成できますが、下記に対応していません。
- 切断しない部品を選択できない
- 部品ごとにハッチングの線の向き及び間隔を変えることができない
線の太さ
線の太さのデフォルト設定は以下のとおりです。
- 細線の0.13mm「かくれ線、寸法線、引出線、バルーン」
- 太線の0.25mm「外形線、切断線」
- 極太線の0.5mmは使用実績なし
- その他の0.18mm「中心線、詳細図の範囲を示す円」
この中でJISのルールに則っていないのが、切断線と中心線、詳細図の範囲を示す円です。(JISでは細線を使用)
まず、切断線や中心線に使われている一点鎖線(細線)の線太さについて見ていきます。
一点鎖線とは、JIS Z 8312によると「長線・すき間・極短線・すき間」の繰り返しで表す線のことで、それぞれの線とすき間の長さは、線の太さが細くなると短くなり、逆に太くなると長くなります。
FreeCADで作成した一点鎖線は、線の太さが0.13mmの場合、実線と見分けにくいため、当サイトでは0.18mmを使用することに決めました。
変更後の設定は以下のとおりです。
- 細線の0.18mm「かくれ線、寸法線、引出線、バルーン、中心線、詳細図の範囲を示す円」
- 太線の0.35mm「外形線、切断線」
- 極太線の0.7mmは使用実績なし
切断線は外形線と同じ線の太さに設定されているため、細線にすると外形線まで変わったことから変更できませんでした。
線の太さの変更方法まとめ
- 細線や太線、極太線は初期設定の記事の方法によって一括で変更が可能です。設定変更後に投影図を配置したものから反映されます。
- 詳細図の範囲を示す円は、詳細図の範囲を示す円を指示している投影図を選択して、コンボビューの「ビュー」タブに表示されている「ISO Width」の項目の数値を0.25→0.18mmに変更します。
- 中心線は、「中心線を作成」の設定画面または、ツールバーの「選択した線の外観を変更」アイコンをクリックして変更します。
中心線の作成
パイプの曲げ部に中心線を引くことができないようです。
ここでは、パイプに寸法を引くため、パイプの先端部のみ中心線を作成しました。
ハッチングの作成
断面図から詳細図を作ると、詳細図の切断面にハッチングが表示されていません。
そこで、切断面を選択してツールバーの「画像ファイルを使用して面をハッチング」アイコンをクリックします。
「面にハッチングを適用」設定画面が表示されるので、「パターンの縮尺」で隣接する他の部品とハッチングの間隔を変更します。
なお、作成したハッチングは部品ごとに線の間隔を変えることができますが、線の向きを変えることはできません。
寸法と注記、引出線、溶接記号、表題欄の記入
寸法
寸法は基本的に部品図に指示しているため、組立図では外形の縦、横、高さの寸法があれば十分です。
しかし、部品を製作した時に寸法の範囲内であったとしても、組部品で納入された時に、変形などで寸法の範囲外になって困る時は、組立図でも寸法を指示します。
注記
注記は製作上の注意事項や寸法以外の情報を記入します。
引出線
引出線は記述や、溶接記号などを示すために用います。
まず、引出線を作成したいビュー(ビュー以外に、点や線、面でも可)を選択します。
ツールバーの「ビューに引き出し線を追加」アイコンをクリックすると、コンボビューに「新しい引き出し線」の設定画面が表示されます。
「Pick points」をクリックして、引出線の矢印の位置を1回目のクリックで決めます。
続けて引出線の方向を2回目のクリックで、水平方向の長さを3回目のクリックで決めたら、マウスの右クリックを押して線の作成を終了させます。
もし、2回目のクリックと3回目のクリックで引出線を作れない場合は、クリックする場所を離すと作れます。
引出線は細線として扱うため、線の太さを0.13から0.18mmに統一したらOKをクリックします。
引出線を配置した後の移動は、コンボビューのツリーにある「LeaderLine」をダブルクリックすると編集できます。
引出線の上の注記は、引出線コマンドで作ることができないため、別途注記を配置します。
溶接記号
溶接記号は引出線に作成するので、引出線を選択した後に、ツールバーの「溶接情報を引き出し線に追加」アイコンをクリックします。
コンボビューに「溶接記号の作成」の設定画面が表示されます。
ここでは、「ろう付け」を指示します。
- 「All Around」にチェックを入れます
- 「末尾テキスト」に「ろう付け」と入力します
OKをクリックします。
引出線の末尾に「尾」の記号を入れられないため注記で「>」を追加します。
溶接記号を作った後でも、コンボビューの「WeldSymbol」をダブルクリックすれば、溶接記号を編集できます。
表題欄
表題欄の尺度について、部品の場合は図面に実物を乗せて重ね合わせることで大きさを比較できるので、原則として1:1の尺度で図面を作りますが、
組図の場合は図面サイズが大きくなり過ぎない程度に1:1から1:2などの縮尺で図面を作ります。
A2サイズくらいまでであれば、机の上に広げやすいのでおすすめです。
部品欄の作成と配置、バルーン(照合番号)の配置
部品欄の作成
ワークベンチをSpreadsheetに切替えます。
次にツールバーの「新規スプレッドシートを作成」アイコンをクリックします。
すると、コンボビューのツリーに「Spreadsheet」が追加されるため、それをダブルクリックするとスプレッドシートが3Dビューに表示されます。
例として下記の項目を記入します。
- 照合番号
- 図面番号
- 部品名称
- 材料
- 個数
- 寸度
- 備考
部品欄の配置
Spreadsheetワークベンチで作成したスプレッドシートを図面に追加します。
図面タブを表示させて、TechDrawワークベンチに切替えます。
コンボビューのツリーに表示されている「Spreadsheet」を選択してから、ツールバーの「スプレッドシートにビューを挿入」アイコンをクリックします。
すると、3Dビューに2×2のセルが追加されます。
先程作成した部品欄のセルの範囲はA4からG6のため、コンボビューの「Cell Start」にA4を、「Cell End」にG6を入力します。
スプレッドシートは投影図と同じく、ドラッグすれば移動できます。
バルーン(照合番号)の配置
バルーンはアセンブリの部品形状と部品欄の番号を関連付けするためのもので、部品形状に矢印で番号を指示します。
まず、バルーンを作成したいビュー(ビュー以外に、点や線、面でも可)を選択します。
ツールバーの「バルーン注釈を挿入」アイコンをクリックして、バルーンの矢印の位置を1回目のクリックで決めます。
選択できる主な部位は、ビューの点、線、面です。
続けてバルーンの位置を2回目のクリックで決めます。
バルーンの変更は、3Dビューに配置したバルーンをダブルクリックして、コンボビューに表示された「吹き出し」の設定画面で行います。
- 「テキスト」に指示したい照合番号を入力
- 「End Symbol」は通常Open Arrowを使用し、他の部品に囲まれた内側の部品については面をDotで指示
- 「線幅」について、バルーンは細線として扱うため、線の太さを0.13から0.18mmに統一
- 「Leader Kink Length」は折れ線にしないため、5.00から0.00mmに変更(初期設定をしていれば不要)
配置したバルーンは矢印のみ固定されていて移動できませんが、バルーンはドラッグすれば移動できます。
バルーン配置後に、部品の追加および変更、削除した場合は、部品欄の照合番号とバルーンの照合番号を一致させておきます。
バルーンを削除したい場合は、バルーンを選択してDeleteキーを押します。
DXFとPDFでエクスポート
作図領域を右クリックして、表示されたメニューの中からエクスポートします。
組立図を習得したら
組立図を習得したら、下記のリンクから学びたい内容の記事に進んでください。